Thursday, January 21, 2010

シャトー・ディゲム

最近嬉しかった出来事。それは何よりかねてより味わってみたいと思っていた貴腐ワイン、シャトー・ディゲムを飲んだことである。

いつも通り『美味しんぼ』に影響され、いつか口に含んでみたいと切望していた。 ボトルまるまる1本じゃあ、とても手の出る代物ではないが、グラス1杯分くらいなら、私なんぞが頼んでも、それほど経済的ダメージを受けないだろう……と考えていたのだが―― グラスで出している店なんぞそう簡単には見つからず、この頃では「もう一生かかっても飲めないさ」と諦めかけていた。 そんな時、たまたまたまたま、本っ当にたまたま、私の願いは叶えられた。

その場に居合わせた方々には「そんな大げさな」だとか、「本当にこの言葉を聞く日が来るとは!」などと思われていたかもしれないが、私は心底思ったことを口に出したのだった。 「生きててよかった!」

本当に生きていて良かったよ。

いやあ、何にせよ夢を持つことは大切ですな。 思い切って言ってみることも大切ですな。いくら飲みたくて飲みたくてたまらなくても、黙っていちゃあ、他人はわかってくれないもの。エスパーでもない限り。

山岡さんや大原社主の姪が美辞麗句を並べたてるのも、納得できるお味でした。 朝起きて一番に飲む水とどちらが美味しいかと言われたら答えに困るが、これまで飲んだ酒の中で上位に入ること間違いなし。 じっくり味わうつもりだったのに、ごくごく飲んでしまい、少々後悔している。 味を覚えている間もなかった。

しいて言うなら、とろりと甘いのに、砂糖の甘味は感じられず、えぐさがなく、酒にありがちな喉でもたついたり、ひりひりする嫌な感覚が一切なく、後味は意外にも爽やかで、強烈なところは一切ないが、心地よさだけはいつまでも残るような味だった。 うーん、ややこしい。

味もさることながら、素晴らしいのはその酔い方だ。 私はくどい顔をしているものの、体質はどこまでも日本人で、アルコールを分解しやすいほうではない。人様以上に。

つまり、めっぽう酒に弱いときている。

ジンロや鏡月に関しては添加物へのアレルギーがあるのか、少し飲んだだけで背中がかゆくなり、発疹のようなものができる。 血行が良くなるからだ、と人は言うが、入浴中も、他の酒類が体に入った時にも、そのような症状はおきないので、やはり、あれらの酒は特別、私の体には合わないのだろう。 それに、酔っ払ったってまるきり楽しくなんかならないのだから。 むしろ、風邪で発熱した時と似た感覚に陥るのだから、これはもう気の毒といってもいい体質だ。

多くの人は酒が入らないとカラオケができない、というが私の場合は逆で、酔うとカラオケが嫌いになる。 第一に、アルコールが喉を通過する時、ひどくしみて、下手をすると扁桃腺に影響が出るものだから、飲酒すると喉が嫌な感じになり、カラオケなんて自殺行為だから。 第二に、酔うと耳が遠くなり、自分の声も音楽も聞こえにくくなる。当然音程も外しやすくなる。聞こえなくて必要以上の大声を出してしまい(しかも腹筋に力が入らなくなるので、喉をいため、響きも悪くなる)ただでさえ扁桃腺が嫌な感じなのに悪循環だ。

が、シャトー・ディゲムは、たっぷり飲んでも耳が遠くも、喉が痛くもならず、カラオケにそれほど影響を及ぼさなかったのだ! 多少愉快な気持ちにもなったと思う。 なんてえらい酒なのだろう!!! これならば毎日飲んだって悪くない。 いや、毎日飲酒は良くない。アル中になるのは嫌だ。くわばらくわばら。

だが考えてみれば、シャトー・ディゲムを毎日飲むなんて不可能だ。 それどころか、今後の人生であと一度でも飲めるかだってあやしいものだ。 あのワインのうっとりする思い出を胸に秘め、アルコールとあまりかかわらない人生を送ることになるのだろう。

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