Thursday, June 10, 2010

耳女を見て思ったこと

バニーの耳をつけている人を見た。午後三時の新宿駅構内、会社員連中に紛れて耳を振り振り闊歩する姿は現実感をぶっ飛ばしてしまうほどインパクトがあり、彼女の後を追って地下鉄に乗ったら、それこそワンダーランドを覗けるのではないかと思ってしまうほどだった。
いくら『アリス・イン・ワンダーランド』を見たからといってティム・バートンの影響は受けていないと思ったのだけど。多少は影響されたのかな、やっぱり。

これまで一度も耳をつけている大人を見たことがないわけじゃない。たとえば浦安辺りに行けば、電車の中だってそういう人をいくらでも見ることができる。
原宿や下北沢にも耳をつけた大人がごくたまに歩いているけれど、彼女たちのファッションはほぼ100%カラフルでコスプレのようで、耳をつけていても全身で見るとそれほど違和感はない。
しかし先ほど遭遇したお嬢さんは白いパーカーにデニムのスカートにレギンスという、まだ一度も性病にかかったことのない女子高生か、主婦ブログをやっている若いお母さんみたいだった。いたって健康そうで、専門学校生にもコスプレアイドルにも全くといっていいほど見えないのだ。
それも、パーカーのフードに耳がついているのではなくて、その健全カジュアルな格好に、なぜか黒いレースでできたちょっとリボンっぽい、妙にセクシーなうさぎの耳をつけていた。それも着ている服とは裏腹に髪の毛は極めて明るい茶髪だし、顔まではよく見えなかったが、それでもなかなかしっかりメイクをしているのはわかった。
つまり、頭から下は女子高生か若いママで、首から上はエスコートガールを思わせる風貌なのだ。だからこそとんでもなく違和感があった。
あれが終電間際だったらエスコートガールのお姉さんがまちがって耳をつけてきてしまったんだろうと苦笑いをすればいい話だが、おやつ時にそんな人がいるはずがない。考えてもどうしようもないことだし、一円の得にもならないのだが、彼女の生態について考えないわけにはいかなかった。
気になるものを放っておくと頭によくないと言われているし。それにその時間はちょうど暇だったのだ。
一緒にいたマネージャーが言うには、「ギャルの間でカリスマ的存在の女の子があんな格好をしているから、きっとその子の真似なんだろう」ということだったのだが、それほどギャルには見えなかった。
どこだか忘れてしまったが、たしか一流ブランドのコレクションでバニー風のカチューシャをヘッド・アクセサリーとしてつけてランウェイを歩いているモデルがいたから、それを意識したどこかのブランドであのお嬢さんは手に入れたのだと思う。パーティーやナイトシーンでならばああいうのも遊び心があって可愛い。そうでなければもう少し露出をしていてくれたら色っぽくて目の保養になったのに。
もしもマネージャーの言うことが正しくて、子持ちに見える洋服にセクシーなバニー耳を合わせるのが(ミスマッチを楽しむのが)流行っているのだとすれば、ますます私は若者の考えていることが理解できなくなってしまう。
まあ、若者に限らず他人のファッションなんて「何故それを着るのさ」と考えてしまうものがほとんどだ。他人から見たら私だってそうなんだろう。ピクニック・バッグや凶器になりそうにばかでかい指輪のどこがいいのかと不思議に思われているはずだ。
あのバニー耳は渋谷109などに行けば手に入るのだろうが、おばちゃんファッションと筋金入りオタクルックはどこで手に入るのかいまだにわからない。

そういえばボストン美術館展であれが売っているのを見た。よくおばちゃんが持っている、黒地に花の刺繍がしてあるカラフルだが地味な色合いの鞄だ。安くはなかった。意外としっかりとした作りだった。
しかし動物の顔つきのゆったりとしたTシャツや、昔ながらのスパッツ、異様に小さい靴なんかはどこに売っているか謎のままだ。
やたらと機能性のいいババシャツならばテレビ通販で売っていたけれど。
着るだけで暖かくて汗を吸い取って姿勢がよくなって三段腹も解消するのだとか。欲しい気もするがあちこちグラマーでなければサイズがないのだろう。痩せ形のおばさんだって少なくはないはずなのに。
あと、小金を持っていそうな中年男性って数珠のようなブレスレットをつけている人が多いが、あれは開運グッズかなにかなのだろうか?
あれを愛用している人で酒に弱い人をまだ見たことがないから、何か肝臓関係のお守りなのだろうか?
ついでながらあの数珠の愛用者で色白の人というのも極めて少ない気がする。
ということはゴルフ関係か?

やっぱり他人のファッションへのこだわりというのはよくわからない。

だがこうやって考えるおかげで多少なりとも頭の運動になっているかもしれないのだ。ならばなるべく大勢の人に意味のわからないものを身につけていてほしい。

見ず知らずの誰かの頭の運動になるという口実ができれば私も好き勝手に変なものを身につけられることだし。

好き勝手な物で身を飾るのはつまり、好き勝手なものを部屋に置くのと同じだ。もっと言えば、ホテルの部屋に大量に私物を置くのと同じだ。
安心できるものがそばにあれば、見知らぬ場所でも縄張りに思えてくる。
犬がマーキングするようなもので。
おしっこよりは臭わないからいいと思うけどな。

9 comments:

  1. 杏里さん、こんばんみ~。
    かなりひさしぶりに、1番コメントかな?
    しかし、東京っていろんな人がいるのですね。
    新宿駅をうさぎの耳つけてなんて・・・
    でも、もしかしらたそのうちに、
    そんな格好が流行しないとも言えないし・・・
    着ぐるみファッションなんかもありましたし。
    しかし、今回もスッキリと最後は締まって、
    さすがに杏里さんって思いました。
    それに引き換え、相変わらず全くまとまらないコメント、
    どうもすみません。

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  2. 午前3時と冒頭にあるから然程違和感を感じずに読んでしまった。
    こういうこと言うと嫌われるかな?

    わたしはベルボトムでないと落着きません。他人からは分からないと思います。

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  3. 杏里さんの文章は頭の運動になります

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  4. ファッションですか~

    判らない・・・f(^^;) ポリポリ。

    年齢関係なく、昔から、こういうの判らない人なんで・・・
    わたしも、まさか、ステテコ姿で出歩くことはできないから、なにか着るんですけど、
    ダサイとか、思われているのかな~
    でも、それも個性ですかね。

    多数決は、民主主義の基本とかいわれてますけど、本当の民主主義の価値は、
    多数決を要するほどに、多様な意見・個性が存在することだと、わたしは思います。

    たまに新宿とか、出かけたときに、
    自分の存在を強烈に主張する、イデタチの人達を見かけますが、けっこう好きですね。
    ( 暴力を連想させるファッションは、嫌いですが・・・)
    だって、それって、やってる本人にとっては、自分の趣味・趣向で勝手にしてることでも、
    世間的には、個人の生き方に対する許容度を、たしかに高めてると思うから・・・

    わたしも、たまには ”ヘンシーン” してみるのも、いいのかな?
    ボストン美術館とはいきませんが、国内のポーラ美術館とか、わたしも好きで、いきます。
    そんなときは、無理して、フォーマルなカッコ、してきますけどね。

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  5. 杏里さんは本当に本を読む多い人です、書くものはすべて比較的に抽象的で、私は本当に分からないで、先生は自分の理解があって、奇怪な1面が私に影響する時かも知れなく、ベトナムがそれを研究してあなたが会越についてその興味を理解することができます。

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  6. 記事と関係ないですけど、虫スナックって・・・
    杏里さんなんてもの食べてるんですか

    僕も売ってたら間違いなく好奇心で買うだろうけど
    自分で食べずに友達とか妹の誕生日プレゼントとかに渡しますよ

    その写真見ると精巧なダミーじゃなくて本物ですよね
    (;´д`)ゞ

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  8. 〆が良いな。
    大卒に間違われる事が当然至極に思われる。
    こういう文章がロハで読めるのだから
    インターネットは面白い。
    著作物が本屋に並ぶ事を切に願います。

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