Tuesday, July 6, 2010

ニューヨーク・ニューヨーク





最高だった!本当に本当に、ニューヨークは例えようもないくらいに最高だった!

私は状況の経験がないのでこれまでこんな感動は知らなかった、それってすごく損なことだったんだ。きっと初めて東京に出てきた人はもっと色鮮やかな感動に出会えるんだろう。何せその日からそこで暮らすのだ。羨ましいにもほどがある。
私の場合、ニューヨークには単なるツーリストとして行っただけなのだから。いくらこの街がどれほど好きになっても今すぐに住めるわけではないのだ。

私の好きなものがすべて当たり前にある街、他人行儀なようでいて、それなりに優しい街。

思えば小学生の頃からニューヨークを舞台にした物語に弱い私なのだから。今回の旅行でどれだけ興奮したことか。

空港に着いた時は不思議とこんな感動はなかった。かといって不安もなかった。

初めての海外一人旅、初めての土地、中一のレベルも喋れない英語、それに私は一応女性だし、金目の物だって全く持っていないわけではない。他人は無謀だと言った。五体満足で帰って来られるといいね、とも言った。殺されなければまだましだよと。
どうしてそうやっていちいち脅したがる人が多いのだろう。歪んでいるのはわかるがたちが悪い。まあ、私は怯えないので脅かしがいがないと思うが。

意地悪な人の言うことを真に受けたわけではなかったが、行く前には多少の不安はあった。しかし着いてみると、おかしなくらい冷静な自分がいた。なんとかなるさと思っていたのだろうか、それともなんとかしなくてはいけないと覚悟を決めていたからだろうか。

とにかく、気持ちの面では冷静だったが、そう落ち着いてもいられなかった。飛行機が遅れたせいでホテルに着いた時には六時を過ぎていて、一刻も早く行動を起こさなければ行きたい場所にも行けなくなってしまう。

とりあえず私はタクシーに乗り込み、現地で着る服を調達しに行った。SOHOのアーバン・アウトフィッターズとアメリカン・アパレルで二百ドルほど使った後は、スーパーやらドラッグ・ストアやらに土産物を調達しに行った。旅行で何が一番ストレスになるかというと、もう絶対に土産物選びだ。こういった面倒事は初日に済ませてしまうに限る。

ホール・フーズを出た時はさすがに大荷物で、肉体疲労も相当なものだった。レストランなどははなから選択肢になかった。ホテルの向かいのカーネギー・デリで十分だった。


カーネギー・デリといえば『ブロードウェイのダニー・ローズ』の舞台となった場所として有名だ。メニューの中から私が注文した物は、これ以上無いくらい観光客らしい「ウディ・アレン」という名のサンドウィッチだった。

そんなものを頼んだせいなのか、ウェイターはそれほど愛想がいいとは言えない態度で「一人で食べるには大きいよ」と言った。

しかし私はめげなかった。なんとなくくやしかったのだ。それに空腹はそろそろ限界で、もう選ぶ気力はなかった。

「半分持ち帰るから大丈夫です」と言った。

そう言いながらも、きっと完食できるんだろうな、と思っていた。ここのウェイターは私がどれだけ食べるかわかっちゃいないのだ。

それにウディ・アレンはラガー・マンみたいな体つきではないのだから、その名のついたサンドウィッチだったらそれほど巨大ではないだろうとも思っていた。

しかし、サンドウィッチのウディ・アレンはラガー・マンどころか相撲取りだった。「小錦……曙……」そういった言葉が『LOVE 涙色』の主人公みたいに、こう、頭の中をぐるぐるめぐっていた。くやしいわ。冗談抜きでさ。



結局ウディ・アレンならぬ小錦に私は完敗して、勝負は翌朝に持ち越されたが、勝利の女神が私に微笑むことはなかった。

気を取り直してセントラル・パークまで散歩がてら歩いて行った。ほんの近くだけれど、今まで居たのと同じ都会の真ん中とは信じがたいほど広大な敷地に、私は度肝を抜かれた。

日比谷公園、せいぜい井の頭公園みたいなものを想像していたのだが、さすがアメリカ。食べ物にも負けないくらい公園もでかかった。マンハッタン自体は小さいのにね。


敷地内ではみんながやたらと走っていた。悪いけれど何が楽しいのかさっぱりわからない。

脇腹が痛くならないのだろうか?







朝の七時台だというのに寝転がっている人も多かった。寝転がり方が本格的でちょっと死体に見えなくもなかった。

池にはぜひ行ってみたかったから、歩いてすぐの所にあってよかった。

実は旅立つ前の日に『チャプター27』を見ていたので、セントラル・パークに入るなり、マーク・チャップマン(ジョン・レノンを暗殺した犯人。『ライ麦畑でつかまえて』を愛読していた)がホールデン・コールフィードのことを考えるみたいに、私もこの歴史的犯罪者のことを考えていたのだ。まあ、あまりいいようには考えていないけれどさ。

ホールデンに習って彼も言った。「池が凍ったら家鴨はどこに行くのか?」

私もあの本を読んだとき、特にその部分に共感したので、池の前に一時間近く居座ったが、家鴨と鴨の区別がつかなかった。





途中、犬が二匹も池の中目がけて走って行った。水が好きなのか?鳥が気になるのか?犬の気持ちは理解できない。


例の回転木馬もあった。やはりチャップマンは「ああ、これがフィービーが遊んでいた回転木馬か」と思ったのだろう。

私も「ああ、これがフィービーが遊んでいた、とマーク・チャップマンが思ったであろう回転木馬か」と思った。



そして、ストロベリー・フィールズに、


ダコタ・ハウス。さすがに観光バスが止まっている。


なんだかセントラル・パークをあまり爽やかに見て来れなかったんじゃないだろうか。

『チャプター27』ではなく、もっと他の映画にしておけばよかったかしら?うんと爽やかな恋愛ものかなにかに。

それはさておき、ニューヨークの話はまだまだ続きます。

うんざりするほど続くかもしれません。あいすみません。



13 comments:

  1. マーク・チャプマンか。一人殺して刑務所出れない人ですね。
    セピアのタクシー写真が素敵。

    ところでウディ・アレンは、東洋女だから「食べられないよ」
    と言われたんでしょうか?ヤンキー男、ヤンキー娘は完食する
    んでしょうかね?

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  2. 杏里さん おかえり
    ニューヨーク刺激的ですね
    自分は西海岸を一人旅しました
    グレイハウンドバスで移動
    街は独特な匂いがしてたのを思い出します

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  3. お疲れ様でした。

    自分が行けない分、今後の報告にも刮目しております。

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  4. 感動が行間から滲みでてますね!
    ジョギングばかりなのは肥満大国ならではですかね?
    ウディ・アレンは量もさることながら、中身のシンプルさに激震が走りました。
    自画撮りは三脚でしょうか?ピントとかもバッチリですね。
    続報期待しております、一杯『ここが大好き!』と『チョッピリ嫌かも』を書き連ねて下さい。

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  5. 数年前、その岩の上で独り、ボケーっとしてたコトがあります。
    視界にだーれも居なくて居心地良かったなぁ。
    まさかあの懐かしの場所がここでお目にかかれるとは…!

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  6. ニュヨーク日誌 面白いです。
    ぜひぜひ 次を 楽しみにしています!

    ああ、ボクもニューヨーク行きたい...プロジェクトランウェイを観て余計に行きたい。。

    飛行機恐怖症くらいで行けていないのは

    損というものなんだろうなぁ。。

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  7. ブログの文章を読む限り、まるっきりあなたの価値観とは逆をいくかもしれないけれどキューバもいいですよ。
    逆もまた真なりというけれど、文章に垣間みる事の出来る荒廃がキューバにはあります。
    映画でいうと「低開発の記憶」とか「90マイル」とかかなぁ・・・

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  8. 杏里さんお帰りなさい

    ニューヨークって街の風景や公園どれひとつとっても洗練されてますよね。
    まあ死体が転がってるシーンはなかったことに。

    パリはまた違った感じで洗練されてますよ。

    しかしウディー・アレンのネーミングの意味が全くわからない・・・。

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  9. (ーΩー )ウゥーン
    一人旅だったん

    だれに、写真とってもらったん?
    そこがちょっと気になった
    V(^∇^)o\o(^∇^)V フォフォフォ

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  10. 人種のるつぼのニューヨークでエキゾチックなフェイスの鈴木杏里ははたして日本人と見られていたのでしょうか?
    沢山の男性から声をかけられたでしょうね。

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  11. シマシマの服とかもかなり似合う!
    ときめきました。

    しかし、セントラルパークはほんとドラマ「Freiends」そのまんまな感じなんですね。

    あと、サングラスして池の前に座っているカット。これ、三浦じゅんに似てるって言われませんか?このカットはかなりポイですよ。ご参考までに。

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  12. Wow, that looks like a lot of fun!

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