Sunday, July 11, 2010

がっかりニューヨーク

いくらあれほど素晴らしかったニューヨークでも、全部が全部完璧にいいことばかりというわけにもいかなかった。

がっかりしたことも嫌になったこともそれなりにあった。

財布を忘れたことについては後に話すとして、今回はブロードウェイでの散々な出来事をお話しようと思う。

ニューヨークのエンターテインメントといえば、なんといってもブロードウェイのミュージカルだ。
誰もがわかっていることだし、私だって当然そう思っていたから、後ろのほうの席になるよりは、と日本から高い手数料を払ってチケットを取ったのだ。

予約した演目は映画で何回も見ているから英語がわからなくたって問題のなさそうな『ウエストサイド・ストーリー』と、舞台装置が派手で人気だという『WICKED』の二作品。

私は映画のミュージカルなんかは大好きだし、宝塚でも十分楽しめたので、本場のミュージカルなんか観た日には、感激しすぎてマニアになってしまうんじゃないかと恐ろしかったほどだ。あんな高い物をしょっちゅう観るようになったら食うのも困る生活をおくらなければならなくなる。

そんなわけでちょっとびくびくしながら、それ以上に楽しみで「トゥナ〜イト♪」なんて鼻歌をうたいながら会場に向かった。

看板なんてもう想像通りで、席だって満員で、最高の出来事が待っているとしか思えなかった。





が、会場入りして5分もするなり、「あれ?なんか寒いな」と思いはじめ、20分も経ったころには十一月の朝、半裸で外をうろうろしているかのようだった。
だが、上着を羽織れば安心だろうと思った。こんなこともあろうかと、上着とストールを用意してきたのだ。




それをこんな風に着込み、不審者に見えなくもない状態で観劇スタート。

しょっぱなから日本人の舞台役者(の中の多くの人)とは比べ物にならない完成度の高いダンスと、本格的な歌唱力に期待通り圧倒されてしまった。

が、楽しい予感が当たったと思えたのはそこまで。そこからさきは地獄、いや、気分は南極。シートも体もひんやり冷たい。それでもまだ足りんと言うばかりに冷房がきいてくるのだからたまったもんじゃない。

寒そうに身を縮めている人もいたが、大半の現地人だか観光客だが、いわゆる外人と私たちが思うような方々は平気な顔をして、役者の飛ばすジョークにげらげら笑っている。

私よりずっと痩せている人だって少なくはなかったのに、そういう人でもキャミソール一枚
で平然としている。

この人たちの体はいったいどういう風にできているのだろう?

パーカーとストールではもう耐えられなくなった私は、休憩時間の20分弱で近所のフォーエバー21で薄手のカーディガン2枚と変なスカートらしきものを買ってきて、さらに重ね着してみたのだが、気のせいかさっきより寒くなっている。

カーディガン2枚にパーカー、首には変なスカートらしきものを無理矢理巻きつけ、ストールを布団でも被るみたいに顔の半分くらいまで上げた。それでも脚が寒くて気が変になりそうだった。

だからもう最終手段を使うしかないところまで追い込まれ、もらったばかりのパンフレットやら持っていた地図なんかの紙類を破って、体のいたるところに置いたり巻いたりした。

風を通さないからなのか、紙は布以上に暖かかった。そのおかげで私は路上生活者が段ボールハウスに住む理由を、身を持って理解することができた。

しかし毎年大勢の路上生活者が凍え死ぬように、その場しのぎで暖をとったって所詮は限界というものがあり、他の観客たちのように舞台を楽しめる余裕は最後までやってこなかった。

おまけに帰りのタクシーが捕まらず、一刻も早くホテルに帰って休みたいがために、たった3分間乗っただけで20ドルもする自転車タクシーで、通行人にじろじろ見られながら帰る
はめになった。







初日で懲りた私は、翌日の『WICKED』にはさらなる重装備で向かったのだが、それでも凍えそうなことには変わりなかった。

『ウエストサイド・ストーリー』より人が多いせいか、冷房も昨日以上にきいていたのだ。









いや、たしかに評判通りのすごい舞台装置だ。役者の実力も音響だって超一流。えらい盛り上がりようだった。



しかし私は一人早く時が過ぎるのを待っていた。激しく後悔していた。来なきゃよかった。もしくはダウンコートでも持ってくれば良かったんだ。

内容なんてほとんど頭に入らなかった。そりゃ英語だってわからないが、あらすじだって知っていたし、あれだけのレベルのものを見せられたのだからもっと熱中しなければいけない。それなのに、ブロードウェイでの舞台鑑賞は、今回の旅の一番悲惨な思い出となった。

期待はずれもいいとこだよ。まあ、私が悪いんだけれども。







期待はずれといえばもう一つ。

松田聖子さんの名曲で『チェルシー・ホテルのコーヒー・ハウス』というものがある。私はあの歌がすっとずっと大好きで、ニューヨークに行ったら絶対にあのチェルシー・ホテルの喫茶店に入ってカフェオレを飲むと決めていたのだ。もちろんあの曲を聴きながら。

しかし、チェルシー・ホテルにはコーヒー・ハウスなんかはないというのだ。

ホテルマンに騙された気もしなくはないが、探しまわる勇気もなかった。

夢やぶれるニューヨーク。そういうこともあるさ。


7 comments:

  1. 杏里さん、こんばんみ~。
    ひさしぶりの1番コメだったらうれしいです。
    夏のニューヨークで冷えまくるってのも大変でしたね。
    都会の街中は、世界中のどこに行っても冷房効きすぎな感じがします。
    でも、まあそういうトラブルというか、
    全てが最高にならないのというか、
    予想外のハプニングがあるのも、
    一種の旅の楽しみかもですね。

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  2. 杏里ちゃん 画になるなぁ
    どうして そんなに かっこよくて かわいいの!?てくらい。。

    寒いのは キツイですよね....
    不安感すら感じちゃいます。。

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  3. 15年程前にhotel chelseaに居ました。アルコールの離脱症状で部屋の壁一面に漢字が浮かんだり、ホテルのノンジャパが私に日本語で喋りかけてきたり、の日々でした。
    カフェはおろか、セントラルヒーティングすら怪しい空間でしたけど。

    もし次の機会があったら、あの重いエントランスのドアをよっこらと開け、どん突きのフロントは無視して適当に上にあがって吹き抜けの階段に座りぼぉっとするとこれはまたよろしかも、です。

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  4. 鈴木さんは日本のRumi Neelyだと思います。
    これからも楽しみに拝見いたします。

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  5. Rumi Neely(@www.fashiontoast.com)をパクり過ぎだと思っています。

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  6. ↑ひどー
    なんか批判コメントに反論なんかしたくないけど・・
    実際そこらへんのモデルとかよりよっぽどオシャレだし可愛いのに。
    そして三島が好きとか 友達になりたすぎる

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