Wednesday, August 18, 2010

異境上海






日本からたった二時間五十分。たったそれだけしかかからないのに、上海は異境だった。

空気が違う。味付けが違う。売っているものが違う。

何より人間が違う。中国人は独特だ。それほど多くの国に行ったわけではないけれど、人だけで言うならば、これまで行ったどこの国よりも上海の人は私から見ると個性的だった。

初めはちょっと怖かった。行きの飛行機のフライトアテンダントの女性はツンデレ喫茶並みに(行ったことないけれど)つんつんしていて、にこりともしなかった。嫌な予感がした。

空港から乗ったタクシーの運転手は、泊まる予定のホテルがそれほど遠くないと聞くと、悪意があるとしか思えない態度をとってきた。

まあ、それ以外の人たちはそれほどはひどくないにしても、快い笑顔を見せてくれる人には、滅多なことじゃ出会えなかった。

誰もが不機嫌で、仕事に対してやる気がなく見えた。

ホテルでもショップでも、平気で何十分も客を待たせるし、ものを置く時はいちいち投げる。聞き返す時に怒鳴る。みんながみんな常に喧嘩腰だ。

そういう態度を続けられると悲しくなってきた。なんでこの人たちはこんなに怒っているのだろう?私はよっぽどまずいことをしたのだろうか?これが人種差別というやつか?それとも単純に見た目がまずいからだろうか?それとも臭いのだろうか?いずれにしても、私にはサービスを受ける資格がないのだろう。
自分の無価値さが身にしみて、この世に生きていることが申し訳なく思えてきた。

もう少しで鬱にまるかもしれない――というところで思い直した。

そういうものなのさ、と。中国人には愛想を振りまく習慣がないのだ、と。

考えてみたら、いくら客商売だからといってむやみやたらににやにやするしなくてもいいはずだ。やる気がなからといってどうだっていうのだ。それでも失業しないのならば別にいいじゃないか。別に愛想を、作り笑いを振りまくのがいいことのわけではないのだし。心では馬鹿にしていながらあえてへこへこするのほうが、かえって相手に失礼かもしれないじゃないか。

とにかく、いかなる理由があるにせよ、他国民である私がとやかく言うものじゃないのだ。

よく言うことだが、それもこれも文化の違い。住むとなるなら話は別だが、どうせこの国にはたった二日ちょいしかいられないのだ。それならばその違いをとことん楽しんだほうが、よっぽど利口だ。

そういう風に考え方を変えたら、ものすごく楽になった。

同時に、彼らのマイペースさがうらやましくなってきた。

本当に中国人というのはマイペースだ。いや、そもそも他人と協調するのにはマイペースでなくてはならないのだろう。ある意味日本人より協調性があるかもしれない。

そして彼らは何事にも率直だ。

怒るときも率直、褒める時も率直。暑かったら裸でうろうろするし、疲れたらどこでも座り込む。すべての人がそうだというのではない。ただ、そういう人がすごく目についた。

コピーにしたって、変に歪曲させず、ストレートにパクる。なんだよ、文句あるか?とでもいうように。商品になるならそれでいいじゃないか。コピー品を見ていると、生産者の声が聞こえてくる。

そういう空間にいると、何が正しくて何が間違っているのかという、これまで自分の中で培われてきた定義がとたんに曖昧になってしまう。

価値観をぶっ壊される快感。これが意外と悪くない。爽快ですらある。

腹さえ丈夫ならまたぶっ壊されに行ってみたいが、残念ながら何かにあたったらしく、この様子ではよほど丈夫にならない限り再訪は難しそうだ。価値観ならいいが、体がぶっ壊されたらかなわない。

いや、今回の食あたりは本気できつい。今だって便器の上でこれを書いている。汚い話だが。

そういえば中国人男性はものすご〜く角刈り率が高い。人間のイラストなんかもちゃんと角刈りになっているのにはおったまげた。

女性はけっこう髭がある。剃らないんだろう。不思議だ。

やっぱり世界は広い。次に行くフランスではどんなカルチャー・ショックを受けるのだろか?





















8 comments:

  1. ボクも高校性の頃、天安門事件のあたり、
    なぜか学校をさぼって 中国を放浪の旅で回りました。。
    それ以来 行っていませんが.....上海すごいことになってますね....
    あのころは 湾岸沿いは まだアスファルトでない所が多かったように思います。。
    性質も最初はキツイように思ったものの
    数週間いると その建前のなさが....楽でした^^;

    ところで 水色の洋服でサングラスを外す写真、可愛すぎっす。。。

    杏里さんを 撮りたいです>_</

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  2. 杏里さん、おっは~!
    今回の上海でもいろいろと楽しい(?)経験と言うか、
    貴重な体験をされたようですね。
    しかし、食あたりの方がひどいようで・・・
    早く回復することをお祈りしてます。
    それにしても、ガラスに映った杏里さん、
    もの凄く脚が長いですね。

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  3. はじめまして。峰なゆかさんによるインタビューがすごくおもしろく、鈴木さんの文章をもっと拝見したいなと思いおじゃましました。

    パリのバスはすごく車体が長くて、途中に連結部分があり、じゃばらで覆われていますよ。
    オペラ座の前あたりで大きくカーブするときぐねぐねまがって、
    すげえ!と興奮したのをおぼえています。
    もしかしてこういうのお好きかなと…。

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  4. いいですねー。
    価値観の相対化。

    中国人のものの考え方をマスターすれば、また視野が広がりますね。

    食あたり大丈夫ですか。
    やばかったら病院ですよ
    いまのうちに救急車の番号は控えたほうがいいと思います。
    「120」らしいです
    食中毒 は シィー(→)ムー(↓)チャン(→)ドゥー(↑)
    と発音するらしいです。
    おなかを指して言えばたぶん伝わるはず

    救急車は キョウフウチャー(↑) 救急車と同じ感じで、最後だけ上げる

    でも上のような文章が書けるほど余裕があるなら大丈夫そうですね

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  5. Oh my!

    What an exciting life you are living. I think you should have stayed away from Long Island though! Too many GUIDOS there, nice beaches though.

    See YA in Tokyo!

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  6. Hi anri, my girl friend was translating for me,, i found it really interesting the way you interpreted the city. I am from shanghai, it contains a lot cultures, we have our own shanghainese cultures, but sadly, it has been missing for years. as a maga city, we do have a lot downsides, such as unacceptable behaviors...as a shanghaiese, i felt sorry for what u have been experiencing in shanghai.
    we still got alot of uneducated people who are immigrated from other city. i guess, shanghaiese are little bit different to other Chinese.
    Shanghai is a city that will not smile. people are stressing out due to the works and massive competition. Most importantly, the salary is just too low compare to Tokyo. people just cant smile due to that reason.
    as an shanghaiese, i will give u a big smile as u did not get it in shanghai.

    Rocky

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  7. Welcome to Shanghai. I live in Shanghai and come from Hong Kong. Your blog is very interesting. Do you like modern Chinese Oil Paintings? I hope I can have a chance to go to Tokyo to join your function!

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