Monday, August 23, 2010

m50



上海には何とも微妙な場所が多かった。
お洒落エリアとして名高い田子坊はいかにも作られた観光地然としていて、まるで仲店通りのようだったし、淮海中路は夜に行ったせいか、クリスマスか『ノルウェイの森』みたいな赤と緑のイルミネーションがとにかくどぎつかったという印象しかない。

だが、アート・スポットm50だけはずば抜けて良かった。全然時間がとれないのならば、ここにだけ行っても全然楽しめるのではないだろうか?というか、ここに行かずしてどこに行く?という感じだ。

それほど不衛生でないし、英語も通じるし、他の場所とは比べ物にならないくらいに人が優しい。上海で落ち着けたのは、こことスターバックスくらいだ。落ち着けない旅もそれなりに楽しいが、一カ所も落ち着ける場所がないというのもしんどい。m50に行って本当によかった。

m50とは、幾十もの画廊が軒を連ねたギャラリー街のことだ。住所がそのまま施設の名前になっているらしい。

日曜の昼間だというのに人気はまばらで、関係者か欧米人観光客ばかり。こういう場所は概して治安がいい。ゲイ・カップルの姿も見かけ、ますますここに親しみがわいた。

ここが格別日本っぽいわけではないのだが、私の日本での行動範囲はどちらかといえば西洋ナイズされている場所が多いので、それによく似た町並みのこのう場所は気合いを入れずに歩けるからいい。私がもし上海に住んでいたら、やっぱりここをよく訪れたことだろう。

最近やっとわかってきた。これまでも薄々感づいていたことだが、やっとはっきりしてきた。旅行を楽しむのは有名所に行ったって意味がない。もしも自分がその街に住んでいたとしたらどこに行くだろうか?買い物は?美術館は?食事は?街歩きは?そうやって考えると答えはおのずと見えてくる。

日本で東京タワーに行くか?国会議事堂に行くか?明治神宮に行くか?つまらない記念館に行くか?浅草にわざわざ観光しに行くか?

いや、行かないだろう。

少し話が脱線してしまったかもしれない。

とにかく私が上海に住んでいたならば、絶対にm50に通うことだろう。

迷路みたいに入り組んだ敷地内には本当に様々なギャラリーが集まっている。可愛らしいギャラリー、グロテスクなギャラリー、ポップなギャラリー、中国とは思えないギャラリーに中国らしいギャラリー、冷房のきいていない蒸し風呂のようなギャラリー、ひんやりと気持ちのいいギャラリー、スタジオ、カフェ、古本屋、ブティック。

洗濯物が干してあったり、ギャラリー内に自転車が置いてあったり、蚊に悩まされたり、アイスコーヒーの氷が品切れだったり、そういう風に、ちょっとずれたところも独特で、あの空間では面白かったりもする。

私なんて全然詳しいわけではないけれど、上海アートの良さはあそこに行ってみてよくわかった。

洗練というのとは違うかもしれないけれど、エネルギッシュで、少し物悲しくて。若々しいのだけれど老人的だったり。どう考えても魅力的だ。

衛生面からみても安心して楽しむことのできる上海の縮図とも言えるかもしれない。

本当におすすめなので、上海に行く機会のある人はぜひ立ち寄ってみてください。

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