Wednesday, November 10, 2010

デコトラとヤンキー




デコトラっていい。すごくいい。

うんと幼い頃から気になって仕方がなかった。

街でデコトラを見かけると、むずむずした気分になった。腹の中がかゆいような気分だ。そして、その感じは案外心地よかった。

デコトラに乗っている人はいかなる時も元ヤンだった。そうでない場合もまれにあったのかもしれないが、あれに乗っているというだけで、その昔は鞄を薄くしていたんだな、と思わせるに十分だった。

小気味よい悪趣味。デコトラの魅力を語るうえで、これは欠かせない。すれすれ、というのではなく、もう突き抜けている。ドラァグクイーンを好きだと思う感覚に似ている。

多くの子どもは、粋だとかそんなことは気にせず、好きなものは片っ端から身につける。多くの子どもが多くの大人になるわけだから、トゥー・マッチな装飾を求めるのは、大半の大人にとって本能なのだと思う。

そういう理屈ならば、多かれ少なかれ、みんなデコトラを心のどこかではいいな、と思っていることになる。むしろ、そうであってほしい。

中でも私は特殊なほうなのかもしれない。

私は、デコトラのヤンキー趣味、極道趣味に、浮世離れした凄みを感じるのだ。

反抗期のなかった私は、ヤンキーとは無縁の人生だった。ぐれていられるほど裕福でもなかったし、人と群れることができるような協調性も持ち合わせていなかった。

周囲にヤンキーがいなかったわけではない。だが、当然のごとく、彼らと共通の話題など何もなく、そのためお互いに無関心だった。

彼らは青春を謳歌し、私はその対極にいた。

あの独特のファッションを、キティちゃんの便所サンダルを、細い眉毛を羨ましいとは思わなかった。だが、興味がないわけではなかった。私にとってヤンキーは、まるで異国の人だった。

物事のけじめにこだわり、似たタイプと早くに結婚し、出産する。いちいち熱い人生。

実際のヤンキーがみなそうだったわけではないだろうが、少なくとも想像の上では彼らは徹底して紋切り型でなければだめだった。

元ヤン一家のことを考えるのは楽しかった。実際に見た事が無い分、イメージはどこまでも膨らんでいった。

彼らの住まい、着ている服、子どもの数、食事風景、彼らの両親、育った環境、子どもへの教育、後ろだけ長い髪の毛、中年以降の体型、旦那の浮気、会話。

いろいろなパターンを考えたが、旦那の職業は基本的にはトラック運転手、それもデコトラの運転手だった。

そして、妄想は元ヤン夫婦から、旦那のデコトラ仲間へと飛び火するのが通例だった。しかし、いつもそこで足止めをくらった。

デコトラ運転手の生活がまったくわからなかったからだ。デコトラの内側がどうなっているのかもわからなかった。これでは考えようがない。

そう思い、デコトラ写真集を買い、『トラック野郎』を観て、デコトラ雑誌を読み、情報を集めた。

そして私は最近、ますますデコトラが好きになった。

あまり走っているのを見かけなくなってしまい、心底悲しんでいる。

そんなこんなで、人生の目標が増えた次第だ。

いつかはデコトラに乗ってみせる!












4 comments:

  1. 杏里さん、おっは~。
    しかし、本当にデコトラって見ないですね。
    その後、アートラなんてのもありましたが・・・
    通勤で大型トラックの多い国道を毎日通るのですが、
    全然見かけませんもんね。

    >いつかはデコトラに乗ってみせる!

    って、横に乗るってことですよね。
    いやぁ~、杏里さんに大型免許は無理かなと思って・・・
    失礼な発言申し訳ありません。(笑)
    では、仕事に行ってきます。

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  2. ヤンキーや極道に憧れる気持ちはわかります
    自分は元極道(組長)の妻の実話や
    元やくざの書いた裏社会の本を読みましたけど
    面白かったですよ

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  3. こんばんわ、はじめまして。
    初めてコメントさせてもらいます。
    田附さんの写真集ですね。自分のトラックの写真が目に止まり
    こめんとさせてもらいました。
    16歳から家業を手伝い、18からずっとトラックに乗っていました。
    いまは父も亡くなり自分の代になりましたが、若いときは色々とありましたね。でも、デコトラに乗ってる人すべてがヤンキーとは限りません、純粋にトラックが好きでかわいいから飾ってやると
    言う人も多いんでわかっていただきたかったんです。
    生意気いってすいません。
    これからもご活躍ください。
                  観ちゃんより

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