Tuesday, November 30, 2010

着る毛布



テレビ通販に洗脳されて、着る毛布を買ってみた。

だって、これさえあれば、読書や勉強がはかどり、代謝が良くなるおかげで綺麗になり、電気代の節約になり、おまけに家族との絆まで深まるとさかんに喧伝していたのだもの。
¥4,980で人生が豊かになるのなら安いものである。

幸せへのチケットは、到着するまでに一週間近くかかった。通販にしては遅いほうだ。注文したことなどすっかり忘れていてたものだから、届いた時にはProenza Schouler のバッグか、Cheap Mondayのボトムスだと思って、浮かれ気分で明日のコーディネートを考えてしまった。着る毛布だったとわかった時は、正直ちょっとがっかりした。

熱は冷めてしまっていたが、一応着てみることにした。

もっと分厚いものを想像していたのだが、実際はぺらっぺらだ。薄さといい、触り心地といい、まさに飛行機で貸してくれるブランケットそのもの。ただ、着ることができるというだけで。

どんな体型の人にも合うためなのだろうか、袖と袖の間の距離がやたらとあいている。そのせいで、余った布が首のところでたるんでしまい、風を通すのなんのって。首元に関して言えば、パジャマを二枚重ね着したほうがよっぽど暖かい。

背中にボタンも何もないから、後ろ側だけスースーするのも気に入らない。まさしくびんぼっちゃまだ。もしもこれを着ている時にたまたま誰かが家に入ってきたら、あるいは、着ている時に地震があって、そのまま外に逃げ出したら、とりあえず「落ちぶれてすまん」と言っておくだろう。

足を入れるポケットのようなものがついていて、それは確かに暖かい。だが、移動するときにいちいち足を出さなくてはならないのが面倒だ。

丈もやたらと長く、歩く時に邪魔で仕方ない。届いて数時間で何度転びそうになったことだろう。

なんだか文句ばかり言ってしまった。確かにこれを着ていることで不便に感じる点は多い。しかし、それらを補うほどの、いや、それ以上に素晴らしい点もあるのだ。

着る毛布というやつは、座っている分にはそれほど優れたものではない。この際それははっきり言っておこう。だが、寝転がっている時、それも、布団の中で本を読んでいる時には絶大な効果を発揮するのだ。

ベッドの上で、本を読むこと。これは私の人生でもっとも幸せな時間の一つである。しかし、冬場は布団から出た腕や胸元が寒かった。冷たい外の空気が布団の中に入ってくるのも不快だった。だからといって、厚着をすると窮屈で、リラックスすることができない。何かいい方法はないものかと思っていた。

この時間をより快適にすることができれば、人生勝ったも同然だ。そして、着る毛布を手に入れたことによって、私は勝者になったのである。

テレビ通販なんて大げさだと思っていた。しかし、一概にそうとも言い切れないようだ。

欲を言えば、これを飛行機で貸してくれたらどんなにいいだろうかと思う。二回も三回も「May I have a blanket ?」と言うのでは骨が折れる。その発音ばかりよくなったってあまり意味が無いではないか。

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