Sunday, April 22, 2012

加藤さんの人生について考える


その日は、いつにも増して平和な朝だった。

夜中に帰宅し、ゆっくりと湯船に浸かり、心ゆくまで脚のリンパ・マッサージをして、今日一日の疲れを癒した。

読みかけの小説のページをめくったり、ネットショッピングをしているうちに時は過ぎ、いつのまにか、世間一般の人たちが会社に向かう時間になっていた。

テレビからは平和そうなニュースが流れていた。バラエティ番組には嫌悪感さえ覚える私だが、NHKのニュースだけは特別だ。慌ただしい世の中の流れも、生真面目なアナウンサーから出る言葉だと苛立たずに聞くことができる。

話題は、スマートフォン用のダイエットアプリについてだった。食べたものの写真撮って送るだけで、栄養士が各人の食生活について事細かにアドバイスをしてくれるらしい。ユーザーは、ツイッターなどでくじけそうな心を励まし合うことができるらしい。

ふーん。私の反応はそのくらいのものだった。そもそもネットをやりながら流していただけだった。真剣に見てなどいなかった。が、その後で耳を疑うような言葉が飛び込んできたのだ。

「○○県に住むカトウタカさんは……」

何っ?

きっとこの番組を見ていた多くの人と同じように、私もパソコンの画面から目を離した。

ちょうどその前夜、勤務している飲食店で加藤鷹さんの来店イベントがあったばかりだった。
私は男ではないので、加藤さんがどれだけすごい教祖様なのか、実のところよくわかっていなかった。周囲の反応をみて、ようやくその偉大さがわかった。
どんな成人映像女優よりも、加藤さんに会った時、男性のテンションが上がることを目の当たりにしたからだ。

しかし、いくら驚異的な人気を誇る彼でもNHKに出演することなんてあるのだろうか?そう思ってテレビに目をやると、そこに写っていたのは、一般人の加藤孝さんだった。加藤さん人の良さそうな中年男性である。

な〜んだ。いったんはそんな風に思ったのだが、だんだん加藤孝さんが気になって仕方なくなった。

特殊なジャンルの有名人と同じ名前というのはいったいどんな気持ちなんだろう?二十数年前までは平和な人生だったに違いない。カリスマのほうの加藤さんが君臨してから、彼の人生は平凡なものではなくなってしまったのだろうか。
もっと当たり障りのない名前だったら……そんな風に自分の運命を恨んだこともあったかもしれない。反対に、おかげで人気者としての確固たる地位を築いたかもしれない。

病院やその他の場所で名前を呼ばれる時、呼ぶほうも含めてどんな気持ちなんpだろうか?

いずれにしても大変な人生を送っているに違いない。

だって、いろいろなことがうまそうでないと許されない名前なんだから。

ああ、まったく余計なお世話だよなあ。加藤孝さん、ごめんなさい。


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